ぶちゃけてぃです。
今日は、最近SNS等でも話題になることが多い「保通協試験」について記事にしたいと思います。
パチスロ Re:ゼロ高稼働の最大の要因は?
パチスロのRe:ゼロ。
素晴らしい高稼働ですね。
パチンコ・パチスロともに昨年度から大ヒットといえるほどの高稼働をした機種がなかった中でのこの結果、素直にすごいなと思います。
そんなRe:ゼロですが、高稼働した要因は何でしょうか?
コンテンツ・演出・ゲーム性・スペック・販売方法など様々な要因がすべて噛み合ってのものだということは間違いないのですが、もっとも重要な要素が何かというと、多くの人が
- スペック
を挙げると思います。
純増8枚という性能ではなく、聖闘士星矢海皇覚醒スペシャルと同程度のスペックバランスなら、ここまでの高稼働にはなっていなかった可能性は高いでしょう。
そうなると、Re:ゼロの大ヒット最大の要因は「スペック設計」ということになるのですが、最近のパチンコ・パチスロの場合、少し考え方が変わります。
- 「あのスペックを設計した開発がすごい」というよりも「保通協の実射試験を通せた【運】がすごい」
Re:ゼロ高稼働の最大の要因が何かと問われると、私はこのように答えます。
これはもちろん、開発の力を否定する意味ではありません。
先にも書いたように、決してスペックの力だけでヒットしているわけではなく、コンテンツ・演出・ゲーム性・販売方法などに関わる大都技研のメーカーとしての総合力が優れているからこそ、ここまでの大ヒットになっていることは疑いようがありません。
保通協実射試験も完全に【運】だけではなく、特にパチスロの場合、少しでも適合率を上げるための内部的な工夫をいろいろと行っていますので、スペック設計能力やそうした工夫を考える部分が優れていたことも大きいでしょう。
ただ、それらをわかった上でも
- 大ヒットの最大の要因は「保通協の実射試験を通せた【運】の良さ」
と答えてしまう「歪さ」があるのが今のパチンコ・パチスロ市場です。
現在市場にあるRe:ゼロのシミュレーション上の適合率は5%~15%程度ではないかと言われていますが、数十回実射試験に落ち続けて、その度に適合率を上げる調整を行った結果、今よりもはるかに特徴の劣るスペックでリリースされ、さほど稼働することなく消えていった可能性も大いにあったわけです。
保通協型式試験の現状は?
ここからはパチンコの話になります。
まずは保通協型式試験の状況を整理してみましょう。
適合率は以下のような推移をしています。
- 2015年以前:80%前後
- 2016年:45%
- 2017年:43%
- 2018年:50%
2015年以前は80%前後の高い数字で推移していましたが、2016年に一気に50%前後の水準まで適合率が落ちます。
現在に至る流れを作った「遊技くぎ問題」の影響ですね。
その後、昨年までは適合率は50%前後の水準のままで推移します。
次に、2019年、今年の適合率を見てみます。
- 2019年1月:46.7%
- 2019年2月:28.4%
- 2019年3月:29.2%
- 2019年4月:41.7%
新規則が適用されるようになった2月以降、急激に適合率が下落します。
風営法改正により実射試験の基準が厳しくなったことが原因ですね。
※参考記事:保通協実射試験基準の変更について
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設定付き新規則パチンコが3~4機種適合か!? 適合機種の噂と、知っておきたい新規則スペックの3つの特徴!
アバックヨだ。 2月から試験開始していた、パチンコの新規則スペックの適合が出始めたようだな。 まだ噂レベルだが、俺の聞いている機種名と、あと、丁度良い機会なので、新規則になってスペックがどう変わるのか ...
パチスロの適合率は、
- 2019年3月:23%
- 2019年4月:15%
とさらに低いため、パチンコはパチスロよりもマシだと思われがちですが、実はそうではありません。
パチンコの場合、適合している機種の多くは甘デジなどの確率の甘い低射幸性の機種で、ホールの主力であるミドルタイプのスペックだけで見ると、適合率はパチスロと変わらない水準になります。
不適合の内訳
次に、不適合の内訳を見てみましょう。
パチンコの場合、不適合理由の大半が実射試験によるもので、そのほとんどが
- 短時間試験・中時間試験の出玉率超過
です。
10時間の実射試験を行い、
- 1時間で220%以上の出玉率になった
- 4時間で150%以上の出玉率になった
場合に不適合、とういやつですね。
短時間試験を例にとって説明すると、10時間実射試験を行って、途中のどの1時間を切り取っても出玉率が220%を超えてはいけないのですが、不適合になる場合はほぼ確実に以下のケースになります。
- 1時間RUSH状態が続いた。
- RUSH中は時短状態なので、打ち出した玉はほぼ同数が払い出される。仮にBA100とすると、1時間6000発発射で6000発払い出し。
- 220%の出玉率になるための払い出しは、発射6000発×220%で13200発。すでにベースで6000発払い出されているので、残りは、13200-6000=7200発。
- 1時間の連荘で大当りで7200発以上払い出されて不適合。(つまり、時速7200発を超えると不適合)
大当りがオール10R1500個だとすると、1時間で5連すれば落ちる計算になりますね。
この試験を通すために、新規則機は連荘中のスピード、時速を落とした機種が多いわけです。
何が問題なのか?
当たり前ですが、保通協実射試験で不適合が多いこと自体にはなんら問題はありません。
法律で定められた基準を満たしていないわけですから、これは仕方がないことですし、そのような機械を持ち込むメーカー側の責任でしょう。
問題なのは、
- 不適合理由の大半(というかほぼ全て)が実射試験であること
です。
実射試験というのは、早い話が【運】です。
10時間パチンコを遊技して、
- 玉が多く出ればアウト。
- 少なすぎてもアウト。
- 「たまたま」範囲内に収まればセーフ。適合。
これが実射試験です。
パチンコだと、最近、必殺仕置人や牙狼のスペックが話題になっています。
先に述べたように、短時間試験だけで考えても、時速7200個以上のRUSHが搭載されていれば不適合。
つまりこれが法律が定める「適正な性能」の基準になるわけですが、この2機種、RUSH中の時速はおそらくこれを超えているでしょう。
現在市場に設置されている機械でも、ゴッドイーターや劇場霊、GANTZ2などは軽くこの時速を超えます。(劇場霊、GANTZ2は小当たりRUSHでの連荘が必要ですが)
当然、こうした性能の機種の方が市場では好まれますので、こうした機種が申請通過すること自体は喜ばしいことなのですが、これがすべて【運】で決まっていることが問題なわけです。
- 規則改正の本来の趣旨である「射幸性の抑制」が実現されるかどうかも【運】
- 販売台数、つまり各メーカーの経営状況を左右するのも【運】
- 稼働状況、つまり各ホールの経営状況を左右するのも【運】
保通協の申請にかかる費用は、パチンコ・パチスロで多少の差はありますが、約150万円です。
適合率は20%前後ですので、
- 150万円で1玉入れられる5穴クルーンの結果で、メーカーやホール、ひいてはそこに所属する多くの人間の命運が左右されている
とういのが業界の今の状況なわけです。
(実際には「申請枠」を取れるかどうかも【運】で決まりますので、さらに【運】要素は強いですね)
まとめ
さすがに保通協側も今の状況は良くないと考えているようで、今まで完全にブラックボックス状態だった試験の内容・情報を少しメーカー側に出してくるなどの動きは出てきていますが、それほど大きな効果があるような取り組みは今のところは見られません。
むしろ、パチンコの場合は、5月からはより状況が悪化する可能性があります。
5月から、先日行われた
- 賞球数下限とベース制限の内規撤廃
に対応した機種の申請が可能になりました。
※参考記事:内規変更内容について
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通常時ベース及び賞球数に関する内規改定‼ 内容詳細と出来ること考察‼ 超ブン回り6段階設定付シンフォギアとか⁉
ぶちゃけてぃです。 通常時ベース及び賞球数に関する日工組内規の改定が決定しましたね。 そこで今日は、 内規改定の内容 内規改定の理由 内規改定で出来ること この3点に関して記事にしたいと思います。 & ...
上の参考記事でも書きましたが、最近のパチンコの内規変更は、
- 実射試験で厳しく射幸性が抑制されているので、明文化された規制は不要
という理由で、不要な規制を撤廃しているという流れです。
つまり、
- 明文化された規制ではなく、より実射試験の【運】だけですべてが決まる
流れに変えているということです。
もちろん、スペック以外の部分での機械としてのクオリティも重要ですので、すべてが【運】で決まるわけではないにせよ、
- 販売台数や稼働を左右する最重要ファクター(スペックやスピード)が、より【運任せ】で決まっていく
可能性は高くなります。
経営的にかなり苦しいメーカーもある現状を考えると、メーカーによっては【釘】で【運】に介入しようという動きが出てくる可能性もあり、そうなると「遊技くぎ問題」が再燃し、今度こそ本当に壊滅的な規則改正に繋がる可能性もあります。
とにかく、これだけ重要なことが
- 保通協の実射試験次第。【運】次第。
で決まる現状が業界にとって良い状況だとはとても思えないし、非常に危険な状態であるというのが私の感想です。
【運】で決まるからこそ高射幸性のスペックを通せる可能性もあるわけなので、この状況の方が良いという考え方もありますが、ちょっと度が過ぎているなという印象です。
すべては保通協次第ではありますが、もう少し【運】だけではなく、算定書の内容や設計値などの【物理的】な部分で可否を判断するような内容に変わっていってくれることを期待したいところです。
今日の記事はこれで終わりとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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