ぶちゃけてぃです。
通常時ベース及び賞球数に関する日工組内規の改定が決定しましたね。
そこで今日は、
- 内規改定の内容
- 内規改定の理由
- 内規改定で出来ること
この3点に関して記事にしたいと思います。
通常時ベース及び賞球数に関する日工組内規改定
内規改定の内容
- 通常時ベース30以上の規定の廃止
- 入賞口の最低賞球数(始動口4個以上など)の規定の廃止
内容としてはこの2点です。
①通常時ベース30以上の規定の廃止
従来は、通常遊技時に発射した玉の30%以上を必ず払い出す必要がありました。
通常遊技時ということは、「大当り」「電チュー」での玉の獲得は出来ませんので、
- 始動口への入賞
- その他入賞口への入賞
この2つで、例えば1分間(100発)の発射に対して30発以上払い出す必要がありました。
その規定がなくなったということですね。
②入賞口の最低賞球数の規定の廃止
従来は、入賞口の賞球数に関しては、細かく最低賞球数の制限がありました。
- 始動口・作動口:4個以上
- 大入賞口・その他入賞口:3個以上
などですね。
この制限が廃止され、どの入賞口の賞球数も「1個~15個」の間で自由に設定することが出来るようになりました。
因みに、「0個」は出来ません。
内規改定の理由
そもそも「内規」がなぜ制定されるかと言うと、警察庁から、
- 射幸性抑制しろよ!
- 最近ちょっとやり過ぎだぞ!
- 自分たちで規制しないと法律変えてがっつり縛るぞ!
というお言葉をいただいた時に、それを受けて「自主規制」として制定するものです。
今回廃止された内規も、通常ベースを削り、その分を出玉性能(スペック性能)に上乗せした機種ばかりだった時代に、それを制限するために制定されました。
ただ、昨年度の規則改正により、そもそも上記の「法律変えてがっつり縛るぞ!」が実際に行われてしまったわけです。
そうなると、そもそも規則上がっつり制限されているにも関わらず、より細かな規制が内規として残ってしまっている状態なので、そういった「無用」な内規を廃止しているというのが最近の流れです。
今回の件もそうですし、65%規制の廃止も同様です。
パチンコの出玉率(払い出し出玉)は、すごく簡単にまとめると、
- 通常ベース + 大当り出玉
で成り立っているので、通常ベースを下げるほど大当り出玉、要はスペック性能は高くすることが出来ますし、逆に通常ベースが高くなると、スペック性能は低くせざるを得なくなります。
要は、通常ベースが高いほど射幸性が抑えられることになるので、今回廃止になった内規はそれを担保するために設けられていました。
現在、この部分に関しては、内規に頼るまでもなく、以下の規則(保通協実射試験)でがっつり規制されています。
- 短時間出玉 : 出玉率下限33%~上限220%
- 中時間出玉 : 出玉率下限40%~上限150%
- 長時間出玉 : 出玉率下限50%~上限133%
- 役物比率 : 7割未満
- 連続役物比率 : 6割未満
今回の件に関して言えば、特に①④⑤ですね。
①短時間出玉に関しては、特に出玉率の下限の方ですが、
- 10時間の実射試験データのどこの1時間を切り取っても33%を超えないといけない
という規則になります。
これは「払い出し出玉」であれば良いので、大当り出玉なども含めた数値で良いのですが、例えば、「1/319」「1/199」といったスペックの場合、1時間大当りしないことは普通にありますので、結局は大当り無しの通常ベースで33%を超える払い出しをする性能でないと、実射試験で適合する可能性は皆無に近いことになります。
④役物比率・⑤連続役物比率は、払い出し出玉の割合に関する規則です。
役物比率の方は、
- 10時間実射試験を行った最終データで、「大入賞口(要は大当り)」「電チュー(要は確変・時短中)」などの役物を使った払い出し出玉の割合が、総払い出し出玉の7割未満になっていないとダメだというもの。
連続役物比率の方は、
- 同様の基準で、「大入賞口(要は大当り)」を使った払い出し出玉の割合が、総払い出し出玉の6割未満になっていないとダメだというもの。
つまり、役物比率の規則だけでも、総払い出しの30%以上は「始動口」「その他入賞口」からの払い出しを担保しないといけないということになります。
これらの規則が存在するので、要は「もう内規はいらないですよね」とういことで廃止している形になります。
変わる部分は?
では「結局、今までと何も変わらないのか」というと、そうではありません。
単純に射幸性を上げることは出来ませんが、開発上、以下の点が大きく変わることになります。
①短時間出玉に関して
内規があると、「通常ベース」だけで30%を超えないといけなかったものが、
- 大当り等も含めて1時間で33%を超えれば良くなる
つまり、玉の払い出し方に対する多様性が増します。
④役物比率・⑤連続役物比率に関して
内規があると、
- 始動口からの払い出し : 4個賞球×スタート回数なのでほぼ固定値
- 盤面左側のその他入賞口からの払い出し : 通常ベース30以上に対して、始動口からの払い出しで足りない分が必要になるのでほぼ固定値
- 盤面右側のその他入賞口からの払い出し : 役物比率クリアのため、総払い出し割合の30%以上に対して、上記2つでは足りない分が必要になるのでほぼ固定値
と、各入賞口の払い出しの割合がほぼ固定化されてしまっていたが、ここの内訳を自由に設計できるようになります。(上記は大当たり後、右打ちの機種想定)
では、これを使って何が出来るのか、具体的なアイデアを幾つか考えてみたいと思います。
内規改定で出来ること(普通ver)
設定を活かす、高スタート&安定スタート機
その名も「超ぶん回り6段階設定付シンフォギア(仮)」(笑)
ヘソ賞球を1個にすることが出来るので、始動口への入賞割合を圧倒的に高めたものを作ることが出来ます。
通常ベース面だけで考えるなら、現在のヘソ賞球4個を1/4に出来るので、今の4倍回せる機種を作れます。
現状、1000円で20回前後の機種が多いですが、1000円で80回、回せる機種ですね。
もちろん、実際に開発する場合、通常ベースは同じでも、回る分だけ(抽選回数が多い分だけ)スペックを辛くする必要があるのですが、このタイプの高スタート機、過去の機種ですと、
- ダークフォース
- 彼岸島(右)
などがありますが、まあイメージは最悪ですよね・・・
ただ、このタイプの機種、設定付パチンコとは極めて相性が良いです。
現状、設定付パチンコは市場で敬遠される空気が強いですが、その理由の1つが「スロットと違いスタートが安定しないから」です。
高スタートのゲージ構成にするということは、スタートを落とすことが出来ないことに繋がりますので、スロットのような設定だけで出玉率が上下する機種に近いものを作ることが出来ます。
現実的に1000円80回とかですとスペック設計が破綻するので厳しいですが、例えば、
- シンフォギアを想像して下さい
- 1000円で40回くらい安定して回ってストレスフリー
- 6段階設定付
- 大当り確率は1/199(設定1)
- ただし、当たった後の出玉性能は、1/99(甘デジver)のシンフォギア
まあ超ざっくりですが、こういうスペックなら実際に作ることは可能だと思います。
これはイメージを伝えるためのものなので、このままのスペックなら面白くもなんともないと思われるでしょうが、
- 1000円当たりのスタートを幾つに設定するのかと、出玉性能とのバランスを取る。
- 始動口入賞までのゲージ構成を高スタートならではの構成で工夫する。
- 高スタートならではのスピード感のある通常時のゲーム構成を構築する。
- 京楽機の超確変のような、突入割合は低いが一撃性のあるフラグを搭載する。
- 設定示唆・推測演出を超面白く。
などなど、これ系の機種を作る上でのカスタムをしっかり施して開発すれば、「設定付」という部分を真に活かした面白い機種を作ることは出来ると思います。
今回の内規撤廃で新たに作ることが出来る機種の方向性の1つとしては、このような形でしょうか。
スペック性能を上げた超甘機
先に述べたように、通常ベースを低くすればその分、スペック性能を上げることが出来ます。
ミドル帯やライトミドル帯だと、1時間で大当たりしなければ短時間出玉の下限に引っかかって不適合になってしまうので難しいですが、逆に言うと、
- 1時間以内で確実に大当りする確率の超甘い機種
- 頻繁に小当りで玉を払い出す羽根物タイプの機種
などは、従来よりも出玉性能を上げたスペック設計をすることが可能です。
実現可能性が高いのは、「ちょいパチ」や「羽根物」タイプですかね。
- ダンバインの甘
- 大海3の甘
のような、ヘソ賞球1個で通常ベースが低く、その分、出玉性能が高い甘デジ(大海3はまわるんにしているので少し違いますが)は、理論的には完全再現可能ですが、「1/99」だと1時間で大当りしない頻度もそれなりに高いので、そのままだと適合させるのはちょっと難しいかもしれません。
ただ、この2機種は甘デジの中でもユーザーからの支持が高い機種ですし、結局、実射試験さえクリアすれば良いわけですから、ギリギリのバランスを取りながら近い性能のスペックを開発してくるメーカーは出てくると思います。
実射試験に関しては「運」の要素も強いので、メーカーが開発して持ち込めば、甘デジクラスなら適合する機種も出てくるでしょう。
継続率65%規制の廃止も併せて、甘デジや羽根物系の機種に関しては、昔の高稼働した機種と遜色ないレベルのものが登場する可能性は高くなったと言えると思います。
「普通」に出来ることだと、パッと思いつくのはこれくらいでしょうか。
次に、少しイレギュラーな内容も考えてみたいと思います。
内規改定で出来ること(特殊ver) ※3/28 一部記載を修正
今回の改定で、理論上は例えば「初代北斗無双」と出玉性能的には同等のスペックを作ることも可能になりました。
ヘソ賞球3個とST継続率80%は実現可能。
16R2400発大当りだけが再現できませんが、最大ラウンドが10R1500発になる代わりに、北斗無双の16R大当り比率が50%なのを、10R大当り比率80%にすることで出玉性能的には同等にすることが出来ます。
ただ、実際にそのスペックで機種開発しても、保通協の実射試験で100%落ちるため、適合・販売することは出来ません。
しかし、それは裏を返せば、「実射試験さえ通せればOK」ということです。
今回の内規改定を受けて、例えば規則の裏をかくような仕様で、そういった機種を適合させることは可能でしょうか。
まず、出玉スピードに関しては、どうすることも出来ません。
実射試験の短・中・長時間の上限値を超えることを誤魔化す方法はないので、出玉スピードに関しては、今の新規則機と同じことしか出来ないです。
次に、ヘソ賞球を下げ通常時のベースを下げることで、RUSH中のスピードは遅いが、カタログスペック的には「北斗無双」と同じものを作ろうとすると、先に述べたように、1時間で1度も大当りしなかった場合に短時間試験で不適合になります。
これを防ぐためには、保通協での実射試験時のみ、その他入賞口などからの払い出しが多くなるようにすれば良いわけですが、これ自体はやれないこともないと思います。
さすがに具体的には書くのを控えますが、
- 盤面領域をうまく使う
- 複数の入賞ルートをうまく使う
このあたりに可能性はあるかと思います。
ただ、これも実際に出来るかと言うと難しいでしょう。
メーカーは申請や販売を行う時に、保通協やホールに対して算定書というものを提出しますが、そこには設計値の一覧が記載されています。
要は、通常時、確変・時短時のそれぞれのベースがどれくらいの数値になるように設計されているのかを記載しているわけですが、裏をかくような仕様の場合、そこに書かれた数値と実射値が乖離することになってしまいます。
保通協での実射試験に加え、これからはホールに設置されているすべての機種に対して「性能表示モニター」でそこに乖離がないかの確認をしていくはずなので、現実問題として、通常時ベースをを大きく下げて、その分をスペック性能に振ったミドル・ライトミドル帯の機種を作ることは難しいかと思います。
まあこのあたりは誤魔化そうと思えば誤魔化せる可能性もなくはないかもしれませんが、パチンコに関しては日工組がしっかりと機能していますから、今の時代にそれをやってくる可能性はないだろうというのが本当のところですかね。
ですので、ミドル・ライトミドル帯のオーソドックスな機種に関しては、それほど今の機種と性能が変わってくるということはないと思います。
算定書に記載するベース設計値は「30~40」のような幅を取った記載をしますので、この下限ギリギリに対して少し工夫を加えることで、現行機より多少は通常ベースを落とし、スペック性能を上げたものが出てくるかも? くらいだと思います。
まとめ
結論としては、
- 安定してブン回る系の設定を活かした機種は作れそう
- 超甘い低確率の機種や羽根物系などは作りやすくなる
- 実射試験の裏をついた機種開発(ス〇〇ト的な)も理論上は可能だが、今の時代、パチンコではそれはやらないはず
このような形になります。
あくまで私個人の考察ですので、実際にはもっと面白いアイデア・工夫をした機種がリリースされてくる可能性はあります。
そうなってくれるのが一番良いことですので、私には想像も出来ないような工夫をした機種がリリースされるのを期待したいと思います。
本日の記事はこれで終わりとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。